1930年代の始め、イタリア北部の
温泉地サルソマッジョーレテルメの
小さな町に、コスチュームジュエリー、
革製品、バッグ、傘、香水、などの
販売、修理を請負うブティックが
オープンしました。店名はファミリーの
名前でロンゴーニ、エレガントな職人技
のライフスタイルの先駆けでした。
ミネラルが豊富な温泉水が沸き
保養と美容の為に訪れる観光客を魅了
してきたこの小さな温泉街で
ロンゴーニのブティックに立ち寄ること
は、定期的に訪れる多くの保養客に
とって恒例のものとなっていました
曾祖父アレッサンドロの熟練した技から
は、今日では廃棄されてしまうであろう
使い古した傘、ベルトやブレスレット、
ネックレス、イヤリングなども修理され
生まれ変わりました。
特に女性客はべっ甲のメガネ、真珠、
あらゆる種類の宝石を好んで購入し
数年後にはその修復の依頼に
訪れる事が恒例でした。
彼の息子リーノは、当時の流行に添った
製品を仕入れる優れた能力とセンスを
持っていたので、ブティックはより洗練
されたものになっていきました。
時は流れ、時代は変わり、使い古した
物を修理して生まれ変わらすという
習わしは時代遅れの風潮となっていき
ロンゴーニのブティックも閉店に
追い込まれます。
そして今、古き良き物の価値に注目が
集まるようになりました。
ロンゴーニ家の子孫である私の夫ニコも
その価値を見出すことに長けていて
その素晴らしい才能に敬服しています。